1984年に生まれて 郝景芳著
寛容さもつ中国SF新世代
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冒頭からぐっと心をつかまれた。本書は、『三体』の劉慈欣に続き、『折りたたみ北京』でヒューゴー賞を中国にもたらした郝景芳が、不安にあえぎながら「自分探し」をする主人公・軽雲とその父親それぞれの思いの軌跡を静かな筆致でつづる「自伝体」小説だ。
父娘の人生の断片が交錯する視点、SF作家ならではの仕掛け構造に、時間と空間を哲学的かつ科学的、俯瞰(ふかん)的に切込む頴(えい)脱が光る。
ジョージ・オーウェル...
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