辻惟雄(24)仙台
のんきな雰囲気、性に合う 若者と談論風発、働き盛り
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仙台は自然に恵まれ、人気(じんき)も穏やかで実に住みよい。冬が寒いのが玉にきずだが、近場で大好きなスキーができるし、いい温泉もたくさんある。魚も日本酒もとてもうまい。
学内の雰囲気ものんきで私の性に合っていた。夕方になると、あちこちの研究室から学生が作るシチュー、おでん、豚汁、カレーの匂いが漂ってくる。新政(あらまさ)の二級酒を酌みながら若者たちと談論風発するのは愉快だった。
仙台に赴任2年目の暮...
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美術史家の辻惟雄さんは江戸絵画史の研究に新風を吹き込み、伊藤若冲らを「奇想の画家」という視点から紹介し、一大ブームを作りました。岐阜の産婦人科医の次男として医師になるべく東大に入ったものの、医学部での学業を断念し文学部に進みました。挫折の連続だったという辻さんが美術史でいかに独自の世界を築いたか、知られざるエピソードを交えながら明かします。