建築家ゆかりの地(1) 弘前と前川國男「木村産業研究所」
建築史家 松隈洋
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建築家は町や風土に育てられる。彼らゆかりの土地を代表作とともに紹介しよう。
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この建築なくして、前川國男という建築家は生まれなかったのではないか。それほどの意味が、1932年、母菊枝の郷里弘前に竣工した木村産業研究所にはある。前川は当時27歳、28年から2年間、20世紀モダニズム建築の主導者ル・コルビュジエのパリのアトリエに学び、30年の帰国後にレーモンド事務所に勤務しつつ、自らの名で手がけた処女...
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