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ネットワーク内で自立を

SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

2020年に続き21年も企業経営は新型コロナに対する政治判断をまともに受けそうだ。新型コロナだけではない。今後テクノロジーの変化によって社会構造は大きく変化することは避けられそうにない。新型コロナは1年で社会を激変させたが、スマートフォンはこの10年で多くの企業を誕生させたり、逆に倒産させたりしながら産業構造を変えてきた。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

企業が社会的意義を失うのであれば倒産もやむなしだが、その結果個人が不幸になるべきではない。企業は本来、社会的活動を行う

ために設けられた人の集団であり、活動領域がなくなれば存続目的を変えるか倒産するしかない。新型コロナによって外食・観光産業は大きな打撃を受けているが、それ以前から日本社会は大きな変化を許容せず着実に忍び寄る高齢化社会や環境問題への備えですら先延ばしにしてきた。今回の新型コロナ禍は今まさに足元で起きている変化だが、政府も企業も個人を守る力がなくなっている。個人は予測される近い将来への備えを自己責任で行うしかなくなっているのだ。

だが、一個人でできることには限界がある。私の場合、30年近く組織に属さず、個人として仕事をしてきた。これは多くの人たちとの信頼関係に基づく人的ネットワークのおかげだ。

日本社会には昔から頼母子や無尽講のような相互扶助の仕組みがあった。沖縄には今でも模合文化がある。企業や政府に依存するのではなく、個人は日本人がもともと持っている相互扶助精神に基づくネットワークのなかで自立して生きることが大切だと私は考える。これまで培ったノウハウやスキルを提供することで日ごろから能力を発揮し、信頼関係を構築することで個人の存在価値は十分に認められる。

2021年、私も特定の企業に所属することを是としない人たちとベンチャーや新規株式公開(IPO)をテーマとした人的ネットワークを構築することを考えている。もちろん副業を志向している大企業の人たちも歓迎だ。私の経験でも成功しているベンチャーは慢性的な人材不足に陥っているが、一方で優秀な人材が能力を持て余している企業もよく見かける。IPOのスペシャリストは複数のプロジェクトに参画し、自ら機会を得て仕事をこなすことでより多くの経験を積んでいる。一個人として不足している社会的信用やノウハウはネットワークの誰かが補完すればよい。

これから20年、新型コロナ禍はテクノロジーや高齢化社会、環境問題などと相まって確実に社会を大きく変化させる。貧富の差は現在とは比較にならない状況となるだろう。政府にいわれるまでもなく人的ネットワークのなかで自らの人材価値を見いだし働き方や生き方を改革していく。これが人生をより豊かにする極意だと私は考える。

[日経産業新聞2021年1月13日付]

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