ホンモノの偽物 リディア・パイン著
割り切れない真贋関係探る
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本物か偽物か。この古くて未(いま)だ新しい真贋(しんがん)問題について考えるのが本書『ホンモノの偽物』である。本物と偽物は、単純な二分法で割り切れるものではなく、両者の間には「真正性のグラデーション」が存在し、あらゆる事物がその上を行き来する。この事実を本書は多様なエピソードから解き明かそうとする。
1930年、ある目利きが15世紀の作とされる中世絵画の鑑定依頼を受けた。カスティーリャの画家ホルヘ...
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