モデルの一生(5) パブロ・ピカソ「泣く女」
作家 山内マリコ
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「ゲルニカ」は1937年6月に完成したが、数量でいえばそれは「泣く女」の年だった。同年ピカソは習作を含め、60作の「泣く女」を描いている。もっとも有名なのはこの油彩画だろう。
ピカソの絵はモチーフの大半を女性像が占めている。その時々にご執心だった妻や愛人をモデルにし、この時期はドラ・マールから創造の刺激をもらっていた。
ドラ・マールは前年にピカソと出会い、約9年「愛人」だった。しかし愛人である前に...
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