モデルの一生(4) マン・レイ「黒と白」
作家 山内マリコ
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その時代、その街の、化身のような人がいる。1920年代のモンパルナスにとってのキキがまさにそれだ。
フジタ、キスリング、あらゆる画家が彼女を描いたが、ギャラをとる職業モデルというより、一緒にお祭り騒ぎする仲間だった。肖像権もありゃしない。なにしろポーズをとらなくても勝手に作品にされるのだから。画家はキキをとおして自分の見たい女を見、描きたい女を描いた。同一人物とは思えない作品も多い。
「狂乱の時代...
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