モデルの一生(2) 藤島武二「芳●(くさかんむりに惠)」
作家 山内マリコ
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責め絵の伊藤晴雨、大正美人画の竹久夢二、西洋画の巨匠・藤島武二。彼らは同じ、1人のモデルを描いた。
秋田県出身の佐々木カ子ヨ(かねよ)は、母とともに東京に出ると12歳でスカウトされる。アイドルのデビュー秘話のようだが、声をかけたのは美術学校の教員の妻。裸体を晒(さら)す美術モデルは偏見の対象で不足していた。
大正8年、夢二と出会う。自分が描く美人画から抜け出たようなカ子ヨの容姿に、夢二も驚いたそう...
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