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ヒット商品番付から21年マーケター展望 リアルとデジタル 融合がカギ

奔流eビジネス (アジャイルメディア・ネットワークアンバサダー 徳力基彦氏)

NIKKEI MJ

激動の年であった2020年がもうすぐ終わろうとしている。今後、今年を一言で振り返るとしたら間違いなく新型コロナウイルスの年として振り返ることになることは間違いないだろう。

大ヒットとなった映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の看板(東京都新宿区)

一方で、激変した私たちの生活様式に合わせて、企業のマーケティングはどのように変わるべきなのか、2020年の日経MJヒット商品番付を元に振り返ってみたい。

今年のヒット商品番付が、新型コロナウイルスの影響を受けて大きく様変わりしたのは間違いない。西の横綱に選ばれた「オンラインツール」を筆頭に、大関の「おうち料理」と「フードデリバリー」、そして「有料ライブ配信」や「D2C」「宅トレ」「部屋着」など、今回のヒット商品番付には、人々が在宅で様々なオンラインツールやウェブサービスを活用して、新しい生活様式に適応しようとしている状況が明確に反映される結果となった。

結果を見れば、企業のマーケターが、新しい生活様式や巣ごもり消費に合わせて商品やサービスをシフトしなければならないのは明白だろう。

ではすべての事業をオンラインに特化すべきか、と聞かれるとどうやら違うようだ。そう感じさせてくれたのが東の横綱「鬼滅の刃」だ。

鬼滅の刃も、大ヒットの一つの要因として、ネットフリックスやアマゾン・プライムビデオなどの多様な動画配信サービスでアニメ視聴が可能だったことがあげられる。現在空前の大ヒットを記録している「劇場版『鬼滅の刃』 無限列車編」は、マンガが原作のアニメとしては珍しく、テレビ放映された本編の続編がそのまま映画化されているが、多くの人たちが動画配信サービスでアニメを視聴してから映画館に足を運んでいるのは間違いない。動画配信サービスにより映画までの本編のファンを増やしたことが、映画の大ヒットにつながっているといえるだろう。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。19年7月からはアンバサダープログラムの啓発活動とnoteプロデューサーとしての活動に従事。

ただ一方で、もし鬼滅の刃が動画配信サービスでしか配信されていなかったら、ここまでの大ヒットになっていなかっただろうとも言える。

鬼滅の刃には週刊少年ジャンプでの連載時からのファンがいる。そこに19年4月から放映が始まったテレビアニメで人気に火がついた。今回の劇場版にしても、動画配信サービスでの映画公開ではなく、リアルの映画館での公開という選択をしたからこその大ヒットとも言える。これは様々な映画の公開が、動画配信サービス重視になり始めている米国とは、対極的な傾向といえるだろう。

鬼滅の刃が社会現象とまでいえるほどの大ヒットとなったのは、多面的でハイブリッドなメディア展開をしていることが大きかった。こうした傾向は他にもあり、女性アイドルグループ「NiziU」の認知度が高まった背景にも様々なメディアでのハイブリッド展開がありそうだ。

今年のヒット商品番付は、新型コロナの影響が直撃し、オンラインツールや巣ごもり消費に極端に振れたランキングだった。21年はおそらく新しい生活様式やデジタル活用が日常となる。それだけに鬼滅の刃のように、リアルをうまく組み合わせることがヒットのポイントになるはずだ。

[日経MJ2020年12月25日付]

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