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紆余曲折こそ起業の力に

SmartTimes 公益資本主義推進協議会副会長 田中勇一氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

「明るく、まじめに、ベストを尽くす」をモットーに、リユース業界に特化した採用支援及び人材育成事業を展開しているのが、AMBヒトラボ(東京・港)代表の山口桃子さんだ。社名のアルファベットはモットーの頭文字をとった。

起業に至るまでには紆余曲折があった。大学卒業後、大手オフィス機器メーカーに入社。女性総合職として期待され営業部門で実績をあげるも、職場環境や自社製品に愛着を持ち切れずに悶々とした日々が続いていた。次の選択肢を考えようと通ったビジネススクールで、自分はキャリア支援事業に興味があることを学び人材紹介会社に転職。しかし、営業とは勝手が違う人材紹介の仕事は思った以上に難しかった。相談者の多くが自分よりキャリア経験が豊富なためなかなか期待に応えられない。

そんな時、取引先で中古ジュエリーのリユース業を営む企業から「人事スタッフとして来ないか」と声を掛けられ思いきって転職を決断した。人事のスキルが今後のキャリアに役立つと考えたからだ。働くうちにリユース事業の大きな可能性に気づいていく。ジュエリーだけでなく、時計やブランド品、家具、着物なども含めたリユースの市場規模は二兆円を超えており、個人のたんすなどに眠っているものまで含めると潜在市場は数十兆円を超えるといわれていることもわかった。

時節柄、SDGs(持続可能な開発目標)活動の広がりで循環型社会が求められており、社会的な意義も高まっていた。そんなポテンシャルの高い業界で人事の仕事にも慣れ、会社で頼られる存在となった山口さんは、職場結婚を経て子どもを授かる。育休後、時短でしばらく働くも何と会社が買収される憂き目にあい、信頼する社長が交代してしまった。経営方針も変わりモチベーションを失った山口さんだったが、これを機に一念発起。自分の力を外で試そうと国内で唯一、リユース業界に特化した採用支援や人材育成事業で起業することを思いつく。

もっとも、リユース可能な中古品の価値を適正に評価し顧客に提案できる人材となるには、古物商の資格はもちろん多種多様なスキルを身につける必要があり育成に時間がかかる。成長産業として注目されてはいたが、採用が難しく慢性的な人手不足に陥っていた。 そこで山口さんは、経験者を採用する企業にはこれまで積み重ねたネットワークを通じて適切なマッチングができるし、未経験者を採用する場合には独自に見える化した教育研修を施すことで人材育成ができると考えた。さっそく前勤務先を退任した社長に相談すると、協力してくれることとなり二人三脚で昨年創業にこぎつけた。母親であり社会起業家であり公益資本主義を実践する活動家でもある山口さんから目が離せない。

[日経産業新聞2020年12月23日付]

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