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医食同源をグローバルに

SmartTimes インターウォーズ社長 吉井信隆氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

新型コロナウイルスの流行を受けて食生活が変わった。リモートワークをしながら、オンライン会議などの合間にフードデリバリーのアプリでランチを注文し、届くのを待ちながら仕事をする機会が増えた。こんなワークスタイルはデジタルネーティブの若者や海外での話と思っていたが、まさか自分もそうなるとは思いも寄らなかった。一方で、夕食は手間をかけて調理したバランスの良い健康的な料理を家族と共にゆっくり食べるようになった。食は命の源だ。コロナ禍で、おいしいだけでなく、安全で健康に良い食事を日常的に食べるようになり、ウェルビーイングな時間が増えた。

1979年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。首都圏営業部長など経て95年にインキュベーション事業のインターウォーズを設立、社長に就く。日本ニュービジネス協議会連合会副会長。

世界のコロナウイルス感染者のうち、安価な加工食品を多用する食生活で肥満や糖尿病などの生活習慣病を抱える人は、重症化率や死亡率が高いと言われている。「フードデザート」と呼ばれる、生鮮食品店へのアクセスが困難であったり、貧困や社会的孤立による食料品の供給体制の崩壊でまっとうな食事を摂れない人々ほど健康被害が多いとされ、社会課題になっている。

日本には、昔から「医食同源」という言葉がある。日ごろからバランスの取れた食事を摂り病気を予防することが、治療することと源は同じとの考え方だ。日本の各地域には豊富な食材や調理技術を融合させた季節の伝統料理が数多く存在する。自然と調和した食べ合わせや、食べるタイミングなどを含めて、健康になるノウハウが詰まっている郷土料理だ。

和食には、日本が持つ気候、地形、地域文化がもたらす多種多様な食材や調理方法、保存方法がある。おいしさと健康を進化させ、地元の食材を生かした持続可能な食文化や技術は、全国の地域に挙げきれないほど存在する。

世界保健機関(WHO)の発表によると、日本は男女合わせた平均寿命が84.2歳と世界一の長寿国だ。自然と調和した伝統料理の種類や調理法(生、焼く、煮る、蒸す、炒める、漬けるなど)は多彩で、世界で最も進んだ医食同源の食文化が人々の健康を守ってきたと私は考えている。日本にはこうした豊かな食文化がある一方、世界では生活習慣病がコロナの重症化率や死亡率を高めることが明らかになってきたため、健康的な食生活への関心は一段と高まっている。

昨年、人工肉で知られるスタートアップのビヨンド・ミートが米ナスダック市場に上場し、時価総額は一時、日本円で1兆4000億円となった。コロナ禍で健康と環境に配慮した「新しい食」への期待が高まった表れだ。食の価値が一変する中、日本には世界に誇れる医食同源の食文化がある。全国各地の食材と調理ノウハウを生かすことで、オールジャパンでフードイノベーションを起こす時だ。

[日経産業新聞2020年12月16日付]

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