福川伸次(13)日米繊維交渉
沖縄返還めぐり密約説 大平氏、佐藤首相への不満漏らす
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大きな問題が起こった。日米繊維紛争である。1969年1月に米大統領に就任したニクソン氏は、南部の繊維関係者に支持を広げるため「日本からの繊維輸入を抑制する」と公約していた。
同年5月にモーリス・スタンズ商務長官が来日し、日本の合成繊維と毛製品の輸出自主規制を要請してきた。
大平大臣は「この問題は関税貿易一般協定(GATT)の体制で処理すべきだ。米市場でどれだけの被害が生じているか論証してほしい」と...
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元通産次官の福川伸次さんは戦後の通商産業政策に長く携わりました。高度成長やオイルショック、日米貿易摩擦といった歴史の一場面に日本の政治や官僚機構が何を考え、どう対処したのか詳しく語ります。また自民党の激烈な「40日抗争」、初めての衆参同日選、大平正芳首相の急逝など、大平首相の秘書官として目撃した激動の時代の裏側を明かします。