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クラウドファンディング人気のワケ 「消費する意味」創造する場に

奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

NIKKEI MJ

今年、注目を集めた事業としてクラウドファンディングがあげられる。クラファンのプラットフォームの活用が一気に進み、消費者もクラファンでモノを買ったり、寄付したりということが非常に身近になった。私も情にほだされてつい決済してしまい"クラファン貧乏"になった時期もあった。クラファンに人と金が集まるのには理由がある。

被災地での新事業もクラファンが後押しする

「あっという間に達成して驚いた」と、喜びの声を上げるのがNPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長だ。

手数料を取られることを避けて利用には消極的だったクラファンだが、今回キャンプファイヤーが「新型コロナウイルスサポートプログラム」と銘打ち、手数料を無料でサービスを提供するというキャンペーンを開始。その審査に通って募集したのは、「コロナで大変な子育て家庭に食料を届けよう!」。コロナで苦境にある家庭に、お正月を迎える食料品を提供しようというプロジェクトだ。

当初300家庭向けだったが、6日間で目標額を達成。現在は600家庭への提供を目指している。食材を提供するのは、キッズドアが東日本大震災後の支援活動を通じて知己を得たNPO法人。「今度は支援する側に」と、喜んで協力してくれたそうだ。渡辺さんは「お金を集めることも重要だが、身近にある苦境を知ってもらうことが何より重要だ」と話す。

新しいものづくりに挑戦する多くのプロジェクトも、クラファンが飛躍を後押ししている。東日本大震災の被災によって、人口が大きく落ち込んでいた南相馬市の小高地区。現在、新しい若い世代も移住して新たなプロジェクトを画策し始めている。

「福島・南相馬にあたらしく酒蔵をオープン。ホップを使ったCRAFT SAKEの挑戦」もその1つ。ウォンテッドリー出身の佐藤太亮・みずき夫妻と、ユーグレナ出身の立川哲之氏という3人が創業メンバーの「haccoba(はっこうば)」。地区になかった酒蔵を作ろうと現在古民家を改造中だ。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

マクアケで醸造設備の一部資金などを調達しようと400万円募集したところ、最終的に626人が支援、700万円を超えた。併設のバーの椅子に名前を刻むという返礼品はすぐに枠が埋まり、何度か枠を広げたそうだ。

単なる応援だけでは一時的な消費で終わってしまう。佐藤さんらは今回は被災地を表に出したが、今後は極力押し出さないという。

利用したマクアケは手数料は高いものの、マクアケ自体のファンがすでに存在し、メディアアプローチも積極的で集客サポートが充実。クラファンが終了してからもページが残るなど、スタートアップにとってはPRツールとしての魅力が大きいという。

モノ消費からコト消費へ。そして消費者がその金を払う意味を模索するイミ消費へ。サステナブルな消費や生き方が問い直された今年。モノを買うこと、お金を払うことの意味を問いかける作業は、一過性ではなく少しずつ存在感が大きくなると感じている。今まで場としての百貨店が果たしていた役割を、もしかしたら「意味を買うデパートメント」としてクラファンが果たしていくのかもしれない。

[日経MJ2020年12月11日付]

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