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電子書籍ブーム、今回は本物? 新常態、隙間時間にまとめ読み

先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

NIKKEI MJ

新型コロナウイルスの猛威に見舞われた今年、読書が堅調だ。「新たな日常」の過ごし方としてはECやオンラインゲーム、動画配信サービスほどの華々しさはないが、波がきているのは間違いない。

電子書籍の利用が伸びている(イメージ)

11月に行われたネット上での調査で、読書習慣のある人々はコロナ禍で、読書量を2割弱増やしているとの結果が出た(クロス・マーケティング調べ)。出版科学研究所による出版物の販売金額で見ても、5月以降に前年同月比で増加に転じる動きもあった。マンガで超大ヒット作が誕生したことも寄与しているが、前年割れが当たり前だった出版業界に久々に光がさした。

目ざましいのがマンガと電子書籍だ。違法海賊版サイトが摘発され、持ち直しを見せたコミックスも、「電子」が大幅増となった。電子書籍取次大手メディアドゥの21年2月期の売上高は、好調だった前年度に比べても3割増を見込む。出版大手のKADOKAWA、講談社なども電子書籍が好調に推移する。

「巣ごもり需要」という強い追い風が寄与しているが、19年度に前年度比2割強の成長を見せるなど、電子書籍の力強い成長は続いている(インプレス総合研究所調べ)。

実は筆者は大の電子書籍党だ。書籍を購入する際は、電子書籍版(キンドル版)があれば必ずそれを選ぶ。

理由はいくつかある。まず重要なのは場所を選ばないこと。自宅にはキンドルが複数あり1台は浴室に持ち込む。近ごろのキンドルは防水仕様があたり前となっており「長風呂の友」として楽しめる。

外出時にはスマホかタブレット端末を持ち歩く。巣ごもりの影響で日課となった近所のジム通いでは、毎朝1時間以上をウォーキングに費やすが、その際にもタブレットで読書する。ひたすら歩く時間を退屈せずにすむ、という以上に、まとまった時間読書するための習慣になっている。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

このように、すき間時間を逃さず読書で埋めるには、さまざまな場所に端末を持ち込める電子書籍が便利だ。どの端末で読んでも読みかけのページを表示できるし、書物に書き込みや線を引くように、興味をひいた箇所にハイライトやメモを加えていつでも呼び出せる便利さもある。

もちろん、こんなオーソドックスな読書が昨今の電子書籍の需要の中心でないことはわかっている。筆者も全十数巻もあるコミックスのシリーズを、短期間に「イッキ読み」したりもする。1巻を読み終えるたびに、次の巻を即座に購入し、読み始められるのも電子書籍の魅力だろう。

電子書籍は小さな画面で読みにくいとか、紙ならではの手応えを感じられないなど、同世代の読書家からの不満も根強い。そんな人にはレノボ社が発表した「画面折りたたみ式ノートパソコン」が注目だ。畳めば大きめの手帳サイズで、フレキシブルディスプレイを搭載しており、開けば雑誌の見開きに近い表示が得られる。価格がいささか高めだが、これがこなれてくれば、電子書籍を加速させる材料にもなりそうだ。

出版業界では何度か「電子書籍ブーム」が叫ばれながら失速を繰り返してきた。いくつかの外的な要因が作用してはいるが、どうやら今回は本物の動きとなりそうだ。

[日経MJ2020年12月7日付]

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