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自立した個人になるには

SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

働き方の多様化が止まらない。働き方改革関連法による労働時間に関する規制が強化され、残業を抑制する働き方が定着。その一方でほぼ半数の企業が、副業を容認するまでになっている。日本的経営の強みであった家族主義は終焉(しゅうえん)を迎え、雇用関係は労働法を前提とした個人主義的な方向に向かっている。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

さらに、みずほフィナンシャルグループが週休3~4日制、電通は正社員の個人事業主化を導入するというニュースがあった。今後、このような制度が多くの企業で導入されることは確実だろう。大企業は社員の忠誠心と引き換えに高い所得や福利厚生の充実を保証するという船ではなくなろうとしている。

大企業はこれまでのように社会的責任から余剰人員にも高い所得を保証するという考え方を放棄し、優秀な人材獲得、維持のためには必要な報酬や条件を与える。だが、その他の従業員には最低限の保障だけで済ますという判断を下すはずだ。人工知能(AI)やロボティックス、さらに新型コロナウイルスによるテレワークはこの流れを加速させるに違いない。

弁護士や会計士などの専門家や大手銀行員でもその立場を維持することが難しくなるケースは増えていく。政府の成長戦略も多様な働き方の定着を重要なテーマとしており、副業や兼業、フリーランスを奨励している。労働者保護の観点でベーシックインカムの是非などを含めた議論が必要になるが、個人の生産性を向上させ、日本の国際的競争力を強化するという観点でこの政策は的を射ている。

私はこれまで特定の企業に所属することなく、複数のベンチャー企業の経営に参画するという生き方を選択してきた。8社の新規株式公開(IPO)を経験し、現在4社の上場企業で社外取締役を務めているほか、10社ほどのベンチャー企業で取締役、監査役、顧問などの役職に就いている。各企業の経営の中で得られた情報、ノウハウ、ネットワークは私個人の能力となり、その能力を各企業の経営に還元することで私のビジネスライフは好循環を生んでいる。

ビジネスパーソンのうち1割は個人として社会的ポジションがある人たちであり、どの組織にいても価値ある人材といえる。だが、9割は1つの組織内でのエキスパートにすぎない。個人が1つの組織だけで成長を続けるのは困難で、複数の組織にまたがった仕事をこなしてこそ成長は最大化できる。副業容認の流れは大企業のビジネスパーソンにとってラストチャンス。大企業がまだ所得を保証している間に新たな目的、やりがいを持ち自らの価値を見つけ出すべきだ。次の時代、自立した個人と目的を共有し、仲間として仕事ができるような社会が到来することを祈っている。

[日経産業新聞2020年12月4日付]

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