福川伸次(2)客室312号
目前で炎上した東京駅 惨状に言葉失う、復旧に万感の思い
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2012年10月3日、私は復元工事を終えた東京駅の赤れんがの駅舎を見上げていた。辰野金吾博士が設計した特徴的なドーム屋根など創建時の姿を取り戻し、東京ステーションホテルもこの日に営業を再開した。
私は真っ先に行きたい場所があった。3階にあるかつての312号室。先の大戦の空襲で東京駅が炎上した1945年5月25日夜、父と私が宿泊していた部屋だ。
客室の記憶はあまりない。だが美しく復元された姿を見な...

元通産次官の福川伸次さんは戦後の通商産業政策に長く携わりました。高度成長やオイルショック、日米貿易摩擦といった歴史の一場面に日本の政治や官僚機構が何を考え、どう対処したのか詳しく語ります。また自民党の激烈な「40日抗争」、初めての衆参同日選、大平正芳首相の急逝など、大平首相の秘書官として目撃した激動の時代の裏側を明かします。