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日没 桐野夏生著

「表現の自由」の近未来を問う

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思想犯として豊多摩刑務所に収監された戦前の経験をもつ埴谷雄高は、独房の天井ちかくにある鉄格子窓から覗(のぞ)いた青い空を、戦後になって「閉ざされたなかの自由」と回想した。この表現がずっと気になっている。

拘束され何もかもままならぬ不自由な生活、それゆえ逆説的に浮かびあがる「自由」の可能性の輪郭。そんな意味を埴谷があの言葉に込めていたとするなら、本作の主人公・マッツ夢井にはその種の「自由」さえ与えら...

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