農業・工芸、青空の下で体験 長井海の手公園・ソレイユの丘(神奈川県横須賀市)
おもてなし 魅せどころ
相模湾越しに富士山を望む三浦半島の海沿いにある長井海の手公園・ソレイユの丘(神奈川県横須賀市)は、幅広い世代に人気の体験型の市営公園だ。東京ドーム5個分、約25ヘクタールの広い敷地を生かして、四季折々の花に農業や工芸の体験、動物とのふれあいやキャンプなどが開放的な雰囲気の中で楽しめる。

京浜急行線の三崎口駅(同県三浦市)からバスで約15分、自家用車は三浦縦貫道の林出入口から約10分。キャベツ畑に囲まれた丘陵地を進んでいくと、南フランス風の建物や施設を代表する遊具の観覧車が見えてくる。入園自体は無料で、駐車場の利用や遊具、動物とふれあうエリアへの入場などに都度料金を支払う方式だ。
案内所の建物を抜けると、青空と農園や花壇の視界が開ける。「入口花畑」は夏はヒマワリ、冬は菜の花がそれぞれ10万本ほど咲き、富士山を背景にした絶景を目当てにカメラ愛好家が足を運ぶことも多いという。
「三浦半島の農&海まるごと体験パーク」のテーマどおり、畑の収穫体験やピザ作りなどに加え、オカリナの絵付けやハーバリウムづくりといった工芸体験が楽しめる。西武造園(東京・豊島)などで構成する長井海の手公園パートナーズの担当者は「子どもが収穫体験を機に嫌いだった野菜を食べるようになったという母親の声も聞かれる」と話す。
10月下旬の平日は、幼稚園や小学校の遠足で訪れたグループや、親子連れの姿があった。「ふれあい動物村」ではアルパカやカピバラ、ポニーなどおとなしい動物が飼育されており、小さな子供が安心して動物に近づいたり、背中をなでたりする様子が目立った。
園内ではQRコードを読み込み多言語で案内する仕組みなども設けており、新型コロナウイルスの感染拡大前は自然を楽しむインバウンド(訪日外国人客)も多かったという。子ども2人を連れ訪れた県内在住の米国籍女性も「敷地が広く、遊具も多くて楽しめる」と満足げ。「米軍の関係者に加え、タイのメディアに紹介されるなどインバウンドにも人気」(担当者)という。
園内は手ぶらで楽しめるバーベキュー施設や温浴施設も併設、レストランでは地域の海産物も提供する。「メリダ」ブランドのスポーツ自転車の貸し出し拠点も併設し、公園を起点に周辺のサイクリングを楽しむ人も目立つという。
新型コロナの影響で4月から一時閉園を余儀なくされたが、例年は年間約70万人が訪れ、年々増加傾向にあった。感染リスクが比較的少ないとされる屋外のレジャーに注目が集まるなか、多様な楽しみ方に対応できるメリットを打ち出している。
(横浜支局 牛山知也)
[日経MJ 観光・インバウンド面 2020年11月16日付]
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