小宮山宏(15)工学部長へ
教育スタイル変革を決意 起業家精神の育成を後押し
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1994年、総長補佐をやってみないかという話が舞い込んできた。持ってきたのは化学工学科のクラスメートで流体力学を専攻する定方正毅教授。彼が、合志陽一工学部長から打診されたものの、「僕には絶対むり。小宮山が適任だ」といって譲らない。
東大の総長補佐は通称、御家人と呼ばれる。各学部から若手の教授が1人ずつ、計10人が選ばれる。総長、2人の副学長と協力し大学を運営する。企業でいうとさしずめ幹部候補生とい...
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三菱総合研究所理事長の小宮山宏さんは2005年から4年間、東大総長を務めました。学問の世界に閉じこもることなく、専門の工学を社会の課題解決に生かそうと奮闘してきた行動派の学者です、化学、医工連携、そして地球環境問題と学際的な探究を続け、大胆な東大改革にも取り組みました。果敢な挑戦を続けたその歩みをたどります。