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エコバッグで増えるレジ前作業 アプリ出したくなる工夫を

奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

NIKKEI MJ

もともと不器用なこともあり、スマホ決済アプリを使うのが本当に苦手だ。特に店舗アプリを立ち上げてバーコードを読み込んでもらい、そのあとスマホ決済アプリを立ち上げるのに、いつも戸惑う。レジでアプリを見せる店舗だと、スマホでの決済を諦めて現金で決済するか、店舗アプリを見せることを諦めてしまうことも頻繁にあった。店舗アプリと決済アプリをシームレスに見せることは、私にとっては至難の業だった。

エコバッグの浸透による影響は様々だ

そこにコロナ。非接触を推し進める中で、店員が商品をレジに通したあとの決済がレジ横のセルフ決済機になる店舗も急増している。従来ならクレジットカードを手渡して終わりだったのが、客自らがカード挿入口に入れたりと、客側の動作が多くなった。戸惑って時間をかけてしまっていると、私のあとの人たちがイライラしているのではないかとハラハラしてしまう。

特に低額の買い物では、アプリを持っていたとしても、見せるインセンティブより心理的な負担が勝る。結果的に多少まとまった買い物をしたときにしか、アプリを見せない。安くてもそのためだけに買い物に来たという行為が、アプリからとれる情報から漏れるのは、事業者観点からすると非常に惜しい。

もちろん私のように不器用な人はイレギュラーで、ほとんどのユーザーは低額の買い物でもきちんとアプリを通しているのかもしれない。だが「買い物を楽しくするためのアプリ」が、レジ前のてんやわんやを助長している面も、現時点では否めないだろう。

とどめは7月からのレジ袋の有料化だ。またしても客の動作が増えた。かなりの割合の人が、商品をレジに通してもらっている間に、エコバッグをバッグから取り出し、お金を払うのと並行して、エコバッグに買った商品を入れるという作業をしている。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

商品をレジ袋やエコバッグに入れる作業台があればまだいいが、そうでなければ客がレジで決済し、すぐに商品を入れる作業もしなければとならない。レジ袋のいるいらないを決めかねている場合は、店舗やサイズによって違うレジ袋の価格を聞き取って、購入するかの判断もする。そうこうするうちに「アプリを出すタイミング逸した」などということも起こる。

そもそもコロナのおかげで入店時から、消毒薬を噴霧したり、マスクをつけなければならなかったり、マスク越しの会話で聞き取りにくかったりと、客側の負担は増えていると感じる。「欲しい物を買いに来る」という行動に付随した店舗内での負担は、確実に去年より増している。

以前から店舗アプリとスマホ決済であたふたしていた私は、エコバッグを持つようになり、よほどのインセンティブがなければ店舗アプリの提示は諦めつつある。というのも一度、セルフレジでスマホのアプリを読み込んだあと、商品を袋に詰める過程で店にスマホを置き忘れて冷や汗をかいた。それから、もう欲張らないことに決めたのだ。

7月以降、小さいが劇的に変化した顧客体験から店舗アプリがこぼれ落ちないため、どう工夫すべきか。エコバッグというニューノーマルに押し出されない工夫を、事業者はデザインするべきだろう。

[日経MJ2020年11月13日付]

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