逆境から生まれたアート(7) エドヴァルド・ムンク「スペイン風邪をひいた自画像」
アート・エデュケーター 宮本由紀
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コロナ禍の比較対象として引き合いに出されるスペイン風邪にかかり、療養中の自らの姿を描いたムンクの自画像である。目を引く苦しげに大きく開いた口。誰もが知る「叫び」を連想させる。
"恐ろしさに震えながら、僕は大自然を貫く終わりのない叫びを感じた"。ムンクは「叫び」についてこう書いている。二十数年後の1919年、今度は、自分は生きるのだ、という"心の叫び"を、まるで開けた口から吐き出すかのように描いて
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