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「宇宙バーガー」ネット資金調達 培養肉をPR、ファン作りも

戦略ネットBiz

NIKKEI MJ

「宇宙でハンバーガーを食べる未来を作ります」。細胞培養会社のインテグリカルチャー(東京・文京)は10月に、ネットで資金を募るクラウドファンディングに乗り出した。2030年代に月面基地で培養肉によるハンバーガーを作って提供することを目指し、第1弾として宇宙で食べられる「ピクルス」を開発。SFのような未来を掲げファンを作り、自社のブランディングにつなげる。

「宇宙バーガー」を入り口に、自社を知ってもらう戦略を描く(10日、資金を募るウェブページ)

インテグリカルチャーは15年に創業。動物の体内に似た環境をつくる装置を使い、動物細胞を低コストで大量に培養する技術を持つ。培養肉分野では食肉大手の日本ハムと19年に連携し開発を進める。世界的な人口増加でたんぱく質不足が懸念されるほか、畜産業は環境負荷も指摘されており培養肉への期待は高い。

インテグリカルチャーは「宇宙バーガー」のクラウドファンディングを入り口に、社会的問題と自社のビジネスを知ってもらう戦略を描く。「突拍子もないコンセプトに聞こえるが、地に足のついた活動をしていることを知ってもらいたい」と同社の鈴木健彦事業推進部長は話す。

同社は18年に、東京女子医科大学と共同で宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心に進める「宇宙探査イノベーションハブ」に参加。無重力下でも細胞培養できるよう研究を重ねる。20年も同プロジェクトに改めて採択された。

クラウドファンディングはREADYFOR(レディーフォー、東京・千代田)が運営する仲介サイトにて実施。「宇宙バーガー」実現に向けた開発資金を11月18日まで募る。最初に設定していた50万円の目標は開始9日で達成。資金提供者からは「夢があるプロジェクト!応援します」「細胞培養技術にワクワク感が止まりません」などコメントが届く。現在は200万円調達を目指している。

「ピクルス」は、ズッキーニやきゅうり、トマトなど宇宙で栽培実績がある食材をフリーズドライ化。細胞培養液のもとから作ったオリジナル調味料「スペースソルト」を入れ、お湯を注ぎかきまぜたあと、冷蔵庫で冷やして固める。宇宙で食べる際、液体が飛び散らないようゼリー状にした。培養肉を使ったメニュー提案を手掛ける桑名広行シェフが監修した。

今後は地球産の培養肉を使用したハンバーガーを25年に提供、30年代に宇宙での「地産地消」を目指す。現在研究開発中の培養肉はまだ時間がかかりそうだが、インテグリカルチャーは19年に食べられるフォアグラの培養肉生産に成功したと発表した。21年には「培養フォアグラバーガー」の地球での提供を予定する。同社は今後もクラウドファンディングによるファン作りを進める方針だ。

クラウドファンディング市場は近年拡大。18年度の国内のクラウドファンディングによる調達額(矢野経済研究所調べ)は、17年度比2割増の約2千億円となった見込みだ。クラウドファンディングは事業者に融資する「貸付型」や商品やサービスの見返りがある「購入型」、対価を得ない「寄付型」などがある。インテグリカルチャーは「購入型」に相当。「購入型」は金額ベースで市場全体の約6%(17年度)を占める。

(川原聡史)

[日経MJ2020年11月11日付]

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