小宮山宏(9)450ドル
留学先 教授と給与で衝突 苦労の一方、充実の1年間
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カリフォルニア大デービス校での留学当初、何度かスミス教授と衝突した。
まずお金を巡ってである。日本を離れる前にひと月の給与が650ドルと聞かされていた。当時、1ドルが270円前後で、日本円にするとおよそ18万円。東大助手の「薄給」からようやく解放される。米国行きを決めた理由でもあったのだが、最初にもらったのが450ドルしかなかった。
「話が違うじゃないか」と教授に直談判したところ「税金を取られてい...
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三菱総合研究所理事長の小宮山宏さんは2005年から4年間、東大総長を務めました。学問の世界に閉じこもることなく、専門の工学を社会の課題解決に生かそうと奮闘してきた行動派の学者です、化学、医工連携、そして地球環境問題と学際的な探究を続け、大胆な東大改革にも取り組みました。果敢な挑戦を続けたその歩みをたどります。