逆境から生まれたアート(2) トマス・コール「破壊」("帝国の推移"連作より)
アート・エデュケーター 宮本由紀
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架空の『帝国』の栄枯盛衰を描いた5枚シリーズの内の1枚、「破壊」。終末を思わせる光景が、迫りくる嵐を背景に繰り広げられている。立ち上る炎、頭が落ちた巨像、兵士から逃げる女性……。かしいだモチーフからなる迫力ある構図は、混乱と残酷さを煽(あお)る。
1801年英国生まれのトマス・コールは、10代で家族と共に米国へ渡る。産業革命最盛期の英国を知るコールの目に、定住地となったニューヨーク州の豊かな自然...
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