社外取締役の指針に注目
SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

2020/10/23付
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞 日経産業新聞 Smart Times

コーポレートガバナンス(企業統治)改革を形式上のものから実のある内容に深化させるためには、その中核となる社外取締役がより実質的な役割を果たすことが重要である。こうした考えを背景に2020年7月、経済産業省によって社外取締役の在り方に関する実務指針(社外取締役ガイドライン)が策定・公表された。このガイドラインの社外取締役の在り方は私の考えとも一致しており、ここで紹介したい。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

このガイドラインには、社外取締役の5つの心得があり、これまでの一般的な社外取締役像からかなり踏み込んだ内容となっている。心得の1つは、最も重要な役割は経営の監督であり、その中核は経営陣に対する評価とそれに基づく指名・再任や報酬の決定を行うことである。必要な場合には、経営陣の交代を主導することも含まれる。

2つ目は社内のしがらみにとらわれない立場に立ち、中長期的で幅広い多様な視点から、市場や産業構造の変化を踏まえた会社の将来を見据えることだ。3つ目は業務執行から独立した立場から、経営陣に遠慮せずに発言、行動することを心掛けるべきという点。4つ目は経営陣と適度な緊張感、距離感を保ちながらコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことがあげられる。そして最後に、会社と経営陣・支配株主等との利益相反を監督することだ。

社外取締役は経営陣の監督を行うことは当然として、自身も経営陣から独立した立場で経営戦略を考えなければならない。取締役会での積極的な発言を通じて、経営戦略の大きな方向性に責任を持つ存在だということだ。さらに、本ガイドラインでは、社外取締役としての具体的な行動の在り方も記載されている。

社外取締役は取締役会の在り方を明確にした上で、経営戦略や事業ポートフォリオの見直しについて積極的に働きかけていくべきだろう。開催頻度、審議時間の見直し、アジェンダセッティングへの関与が求められており、そのために取締役会議長を務めることも有効な手段といえる。

IRなどで投資家とのインターフェースになることも社外取締役の役割として記載されている。私は自身の判断で機関投資家との対話を実践してきたが、今後はさらに積極的にIRへの関与を強めていきたい。社外取締役はコーポレートガバナンスの中核であり、もはや形式的に選任すればよいという存在ではないことは明らかだ。改正会社法によって上場会社等は社外取締役の選任が義務づけられた。今後、取締役会が形骸化している場合、その責任は社外取締役にあると言ってもいいだろう。上場審査において社外取締役の評価をどのように行うのかも問われてくる。私は今後もますます重要になる社外取締役の役割や責務について啓蒙を続けていきたい。

[日経産業新聞2020年10月23日付]

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