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米でフェムテック起業続々 女性の課題、タブー視せず

奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

NIKKEI MJ

米国ではここ数年「フェムテック」と呼ばれる分野の起業が相次いでいる。フェムテックは女性と技術を掛け合わせた造語で、テクノロジーを使って女性のヘルスケアやライフスタイルをサポートするビジネスだ。フェムテック市場は、27年までに600億ドル規模に成長すると予想されている。

米国だけでなく日本でもフェムテック市場が広がっている

女性特有の課題は以前からあったはずなのに、なぜ今、と思うかもしれない。1つ目は女性の社会進出に伴うニーズの顕在化がある。PMS(月経前症候群)、更年期障害、女性特有のライフイベントである妊娠や出産、加えて晩婚化や子供を産む年齢の高齢化など、課題は多様化しており、それに対するソリューションが求められている。

そして2つ目は社会進出した女性自身が、自らが求めるサービスを開発するようになったことがある。フェムテックスタートアップの創業者は主に女性だ。

またインターネットでのコミュニケーションにより、これまではタブー視され、個人に秘められていた女性特有の課題や問題が、より可視化されたこともあるだろう。テクノロジーの進化により、センサーなどを使ったプロダクトやサービス開発もしやすくなった。

主なカテゴリとしてはピルのサブスクなどの「月経」、不妊治療や卵子凍結などの「リプロダクティブヘルス」、出産前後の「妊娠&産後ケア」、女性ならではの「婦人科系疾患ケア」そして「セクシャルウェルネス」などがある。コロナ禍でも資金調達が盛り上がっている。

直近では9月にウエアラブル搾乳器のスタートアップ、ウィロウが資金調達した。このプロダクト、ベイエリアで育児をしていると使っているママによく遭遇する。搾乳は隠れた場所で座って、というのが従来の常識だった。ウィロウならいつでもどこでも搾乳できるので、車で移動しているときや、ママ友と公園で遊んでいるときにも搾乳できる。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

今年7月には、卵子凍結や不妊治療サービスを提供するカインドボディが資金調達した。不妊治療というと、なんとなく奥まった場所にひっそりとあるイメージだが、カインドボディは明るくオープンなクリニックを運営。バスを使った移動式のポップアップクリニックを展開しており、無料で卵子の潜在個数に関連する血液検査を行うなど、カジュアルに卵子凍結について考える機会を提供している。

当初は個人向けサービス中心だったカインドボディだが、最近は企業の福利厚生サービスに力を入れる。米国では14年ごろから、大手企業が卵子凍結費用のサポートを福利厚生プログラムに組み込んでいる。

筆者のまわりでも卵子凍結をする友人が増えており、今後さらに加速するのではと感じる。日本でも五輪選手が先日卵子凍結について公表していたが、個人的にもタブーではなく、ポジティブな選択として広まってほしいと思う。

フェムテックの動きは日本でも少しずつ広がりつつある。不妊治療の保険適応も検討されているということで、今後の動きはさらに加速しそうだ。注目していきたい。

[日経MJ2020年10月23日付]

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