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スタートアップを後方支援 産みの苦しみ、すべて伝える

先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

NIKKEI MJ

働き方革命の影響か。筆者は肌感として、最近スタートアップ企業が非常に増えている気がする。しかし5年後、10年後に生き残っている確率は本当に僅か。そんな厳しい世界の起業家のためのプラットフォーム「StartPass」が登場した。

「StartPass」の仕組み

「2013年に初めて起業したが、大変であることがデフォルト。なぜならスタートアップにはヒト・モノ・カネ・情報・時間の全ての経営リソースが無いからだ」。プラットフォームを運営するスタートポイント(東京・渋谷)の小原聖誉社長は、自身の起業経験の難しさを語る。

現在、このスタートパスには、マネーフォワードなど90社が参画。ベンチャーキャピタルも多数参加し、資金調達の支援や相談にも乗る仕組みもある。決算報告書の書き方セミナーから、AWSサービスや、シェアオフィス、法人クレジットカード、会計クラウドなどなんでもそろう。

メインはパソコンの動画会議のウェビナーやLINEのコミュニティーだ。これにより資金調達のためのメソッドや成功、失敗事例などの起業全般の情報収集ができたり、参加した方がいいイベントを紹介されたりする。さらには有名起業家や有名投資家とつながり、業務提携まで発展した例もあるそうだ。

「事業を企画したのは昨年末だが、13年の起業家時代からスタートアップ経営に課題を感じていた。さらに16年からエンジェル投資を行ったことで多くのスタートアップと知り合い、当時の自分と近しい状況を知りプロダクトとして支えたいと思った」と小原社長。月額費用は1万円で、既に170社以上のスタートアップが使っているという。

「オンラインコミュニケーションが前提となり、地方や海外のスタートアップも利用しやすい。ベンチャーキャピタリスト(VC)との資金調達マッチングもビデオ会議が基本になったことで、手軽に新しい接点ができて喜ばれている」と小原社長は話す。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

実際にこのサービスを使っているスタートアップはどう感じているのだろうか。

世界中の研究室と理化学機器メーカーをつなげるベンチャーのQuixoticc(東京・港)の近藤みな社長は「起業アイデア1つでどこから何を突き詰めて前進すべきかという状況の中、StartPassで様々な事業や起業仲間と知り合うことで事業の方向性とプロダクトの形を見いだせた」と話す。

小原社長が起業当時に味わった失敗や苦労をすべてプラットフォームに載せた。さらにプラットフォームから様々な企業とつながることもできる。「日本のスタートアップの歴史は浅い。縁の下の力持ちになるため、30年はこのプロダクトに集中したい」と小原社長。すでにアジア圏でのサービス展開も見据える。

起業のノウハウは経験者にしかわからない。ただこれまでは蓄積されることなく、それぞれが毎回体験していた。それを系統立て、さらに欲しいサービスを安価で使えるプラットフォームにするのは新しい考え方だ。未来のユニコーン企業が、ここから登場する。そう考えると、ある意味今の起業家は恵まれているのかもしれない。

[日経MJ2020年10月19日付]

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