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幸福呼ぶ黄色い卵かけご飯 食堂かめっち。(岡山県美咲町)

おもてなし 魅せどころ

NIKKEI MJ

岡山県中央部の美咲町にある「食堂かめっち。」は、地元の養鶏場で採れた新鮮な卵と棚田で収穫された米を使う卵かけご飯の専門店だ。口コミなどで人気を呼び、開店から12年半で計90万人、直近も月5000人が訪れるほどに成長した。幸運を呼ぶイメージの黄色の卵は、人口約1万3000人の小さな町に交流人口の増加という恩恵をもたらしている。

新メニュー「釜炊きスペシャル」では炊きたてのご飯と機能性表示食品の卵を用意する

目玉は500円で卵かけご飯が食べ放題の「黄福(こうふく)定食」。1人平均3杯は平らげるという。漬物や味噌汁の味噌は地元産で、だししょうゆも県内産を採用するこだわりぶりだ。親子丼やだし巻きなどもそろえており、神戸市から来た男性は「卵が濃厚でおいしかった」と満足げだった。客の大半は町外からで、うち京阪神が3~4割を占めるという。

美咲町は2005年3月に3町の合併で誕生したが、観光資源に乏しかった。そこで当地出身の明治初期のジャーナリスト、岸田吟香が卵かけご飯を好んで食べて広めたという史実に着目。町内に120万羽を飼育する西日本最大級の養鶏場、「日本の棚田百選」に選ばれた棚田が2つあることもあり、当時の町長の発案で旧うどん店跡に08年1月に開業した。

第三セクターが運営する店は、町をPRするきっかけになり知名度向上につながった。立ち上げ段階から携わる同町産業観光課の川島聖史課長補佐は「当初は2カ月で閉店すると思ったが、今では子どもからお年寄りまで集まる『ファミリーレストラン』としてすっかり定着した」と笑う。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、4月11日にいったん休業。時を同じくして計画していた改装工事も相まって、コロナ対策を施したうえで7月3日に再開した。待ちわびていた人は多く、8月のお盆期間中は10日間で計2000人が来店。最大1時間半待ちと盛況だった。9月の4連休や直近の週末も、1日平均300人を集めた。

店内にアクリル板を設けて座席数を減らした一方、隣接する屋根付きの広場を食事場所として確保。屋外専用のメニューとして「釜炊きスペシャル」(1500円)が登場した。2合炊きの専用カセットコンロで目の前で炊き上げ、中性脂肪を下げる効果を持つ機能性表示食品の卵(6個セット)を用意。多い日で1日50食近くが売れ、新たな名物になりつつある。

「かめっち。」の成功を契機として、町では黄色をテーマに「美咲黄福物語」と銘打った地域おこしの取り組みも進む。川島さんは「交流拠点として、もっと愛される店にしたい」と意気込む。近く子ども向けメニューやおかずを追加する予定で、11月には今年も新米がお目見えする。

(岡山支局 沢沼哲哉)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2020年10月19日付]

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