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最新スマホに食指動かず 本命なき「5G」、コロナ追い打ち

先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

NIKKEI MJ

アップルは、例年9月に新型iPhoneを発表しているが、今年はその発表と発売が10月にずれ込んだ。2年ごとに新機種へと乗り換えてきた筆者としては、今年は乗り換えのタイミングにあたり、新機種iPhone 12の発表にはいつも以上の関心を持ってきたのだが、肩すかしを食らった格好だ。

iPhoneの最新機種発表が近づいているが…

「異変」の理由は新型コロナウイルスの影響が想像できる。中国で新型コロナが猛威をふるったことで中国の生産拠点の稼働が影響を受けた。製造面だけでない。最大の成長市場である中国の消費が冷え込んだことも大きい。

一方の対抗馬、グーグルからは、新機種のPixel 5が先ごろ発表された。実は筆者はPixel 3の利用者でもあるため、こちらもそろそろ乗り換えを考えておかしくないタイミングだが、いささかためらっている。両機種とも今のところ、乗り換えに走るほどの理由が見当たらないというのが本音なのだ。

Pixel 5は喧伝(けんでん)されてきた5G対応を果たした。大方の予想では、iPhone 12も5G対応するとされる。となると乗り換えの最大のポイントは5G対応ということになる。

だが、キャリアごとの差異はあるにせよ、広範に5G対応した基地局が整備されるには時間がかかる見込みだ。いつでもどこでも「高速・大容量」の5Gの魅力を享受するにはまだまだ時間がかかる。より重要なのは5Gの真価を享受するキラーコンテンツがまだ見えていない点だ。

例えば、高精細な動画やゲーム、リアルタイム性が命のAR(拡張現実)などが、5G普及をけん引すると期待されるが、本命は定まっていない。ネットフリックスが国内でも普及の勢いを見せ、ディズニープラスも登場するなど定額制動画配信が成長をけん引することは間違いないが、それが「スマホで見る」ものかといえば疑問符もつく。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

JEITA(電子情報技術産業協会)の集計では、今春以降、大型画面のテレビの販売が伸びている。在宅時間が増え、「巣ごもり」が常態化するにつれ、快適な大型画面で映像やゲームを楽しみたくなっていると想像できる。

アメリカでは、ハリウッドの著名プロデューサーと大手IT企業経営者の大物コンピが、鳴り物入りで定額制動画配信アプリ「Quibi(クィビィ)」を4月にサービスインさせたが、思わぬ苦戦を強いられている。クィビィは潤沢な資金を背景にしたハリウッド流作品をスマホ視聴に特化させ、先行するネットフリックスらとの差別化を狙っていた。創業者でハリウッドの著名プロデューサーのジェフリー・カッツェンバーグ氏は、思わぬ立ち上がりを「すべてコロナが悪い」と嘆く。

外出頻度を減らした消費者が、スマホ一極集中から視聴機器の多様化に向かうとの調査も報告されている。調査会社のカナリスが、全世界でのスマホの出荷台数が前年比で10%強減少すると発表したばかりだ。巣ごもり消費の影響を受け、大画面を備えたテレビやパソコンに需要が向かったり、逆にスマホはスキップして、次の注目分野のウエアラブルへと消費者の関心が動く転機に差し掛かっているのかもしれない。

[日経MJ2020年10月11日付]

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