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空港の縦割り行政打破を

SmartTimes WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で政府は世界の159カ国・地域について、日本からの渡航中止を勧告し、外国人の入国は原則拒否してきたが、緩和の動きが出てきた。これまで例外措置として7月末以降、比較的感染が落ち着いているアジアの中から、タイやベトナムなど7カ国・地域との間で長期滞在者の往来を再開した。

さらに10月1日より政府は「経済再生のためには国際的な人の往来の再開が不可欠」として全世界を対象に新規入国の受け入れを一部再開することを表明。まだ観光客は除外されているが、ビジネス客や外国人留学生などの中長期滞在者が緩和の対象となった。

グローバル経済の中で生きる私たちにとって、人の往来を止めることは血液を止めるようなもの。長引けば人体が末端から壊死していくように、旅行業界など一部の産業が痛手を負い、次にそれ以外の産業を含め経済社会全体が壊れていくだろう。その禍根は長く残る可能性もある。最悪の未来を回避するため、新型コロナウイルスと共存しながら早期正常化を探る動きは世界の観光行政で加速している。

韓国の主要国際空港である仁川空港では感染拡大規模が大きい高リスク国と、感染が比較的少ない低リスク国に分割。高リスク国からの到着便については空港内検査、低リスク国からの到着便については空港外の専用施設での検査とすることで検査数を拡大し、到着客を空港に留める時間を短縮している。香港は原則、空港外検査で、到着客はシャトルバスで専用施設に運ばれそこで検査となる。

一方、外国人の入国経路の97%は空路という日本。これは水際対策がしやすい反面、入国規制の緩和のフェーズではボトルネックにもなりうる。現在、日本では成田国際空港や関西国際空港に玄関口を限定し、到着客全員に空港内での検査を義務付けている。このため、検査の窓口は少なく到着便が重なる時間帯には検査結果が出るまで待ち時間が長くなる。

韓国や香港などは、重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時の経験を踏まえ感染症対策をしながらの国際交流への対応がとれていると言える。だが、SARASは日本に本格的に上陸しなかったこともあり、経験知の少なさから空港での感染症対策は今も試行錯誤が続いている。

空港という場所は多くの省庁が絡む。空港は国土交通省管理だが入国は法務省、検疫は厚労省、外国人留学生は文科省、観光客は観光庁、外交全般は外務省といった具合だ。それぞれの現場は最大限の努力をしていても全体最適を図れる司令塔は不在だ。新しく発足した菅政権は「縦割り行政の打破」を掲げる。空港のコロナ対策問題についても全体を俯瞰した改善とコロナとの共存に向けた取り組みを期待したい。

[日経産業新聞2020年10月5日付]

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