マクアケで話題のハイテクマスク 議事録作成や8カ国語翻訳
先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

日経MJ
コラム(ビジネス)
2020/9/21付
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NIKKEI MJ

クラウドファンディングのマクアケで現在「応援購入」を呼び掛けている、あるプロジェクトが話題を呼んでいる。スマートフォンのアプリと連動して使う「スマートマスク」だ。近距離無線通信「ブルートゥース」経由でスマホにつなげ、マスク越しに小さな声でしゃべっても、10メートル先にいる相手のスマホに声を届けることができる。

ハイテクマスク「C-FACE」はスマホと連動し翻訳や議事録作成ができる

ハイテクマスク「C-FACE」はスマホと連動し翻訳や議事録作成ができる

このハイテクマスク「C-FACE」は他にも驚くような機能がある。例えば「しゃべった声を文字にする」。これで会議の簡単な議事録が作ることができる。「8カ国語を翻訳をする」。これで外国人との簡単な会話も可能になる。病院で医師と距離をあけて診察してもらう、といった使い方も想定している。マクアケで応援購入する場合、1個4378円で2021年2月末までに発送予定としている。

C-FACEを開発しているのはロボット関連のスタートアップ、ドーナッツロボティクス(東京・港)だ。東大卒のエンジニアが2年ほど前に発案したが、当時はマスクの需要がそれほどあったわけではなく、一度は開発を断念した。

同社はそもそも14年から「シナモン」というスマートロボットを開発している。家庭や企業で役立つ小型ロボットというコンセプトで、翻訳や道案内などをするため、人の声を聞き取り、しゃべる機能の研究を進めてきた。ところが新型コロナウイルスの感染拡大で、図らずもマスク市場が急拡大。そこで、こうした技術も生かせるスマートマスクの開発を再開した。

スマートマスクには、まず人の顔の形状にフィットさせるハードウエアの設計技術が必要だ。ソフトウエアの面では音声認識、音声の文字化、翻訳、発話を高い精度を実現しなければならない。「1カ月でプロトタイプを完成させて、特許を申請した」と小野泰助社長は話す。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

自社のウェブサイトで公表するとすぐに世界中のメディアから取材が殺到した。マクアケでは応援購入総額の目標金額である50万円を早々に達成。9月半ば時点で1000万円以上集めている。さらに世界36カ国・地域、150社以上の企業から注文があるという。

小野社長の経歴は実にユニーク。先祖は130年以上続く老舗企業を2つ創業したそうだ。そんな背景もあって「自分の世代から100年後に隆盛を極める市場は何か」という視点で物を考える習慣が身についたという。最終的にロボット関連企業を立ち上げることにした。

スマートロボットのシナモンは企業の受付に置いて来客の対応をしたり、家庭に置いて防犯や高齢者の見守りをしたりする機能がある。新型コロナの影響で、現在は受付としての引き合いが増えている。「ソフトバンクホンダが作ったロボットは世界的に有名だ。日本にはロボット市場で大きなアドバンテージがある」と小野社長は話す。

小型ロボの技術を転用し世界中から注文が殺到するスマートマスク。早く世界に発送できるよう開発を急いでいる。日常の会議や医療、観光などの現場で使われる日はもうすぐだ。

[日経MJ2020年9月21日付]

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