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地域に根付いたビジネス

SmartTimes iU情報経営イノベーション専門職大学教授 久米信行氏

今春、私の地元墨田区に日本初のユニークな専門職大学iUが開学した。経験豊富な実務家の教員がICT、英語、ビジネスを武器に起業家を育成する大学だ。その目玉授業がビジネスプランをチームで練り上げるイノベーションプロジェクトだ。先日、前期課程の総仕上げとして、各クラス選抜チームによるプレゼン大会が開催された。残念なことにコロナ禍の影響で記念すべき第1回は授業同様オンライン形式だったが、イベントは白熱した。

1963年東京都墨田区生まれ。国産Tシャツメーカー久米繊維工業の三代目(現相談役)。ICTと英語活用で起業を目指すiU情報経営イノベーション専門職大学教授。多摩大学客員教授。明治大学講師

学生たちは、まだ一度も会ったことのないチームメートとネットで議論を重ね、商品説明動画を共同制作し、5分間のプレゼン案を完成させた。その出来栄えは、大学に入って間もない学生がネットでの共同作業だけで作り込んだとは思えないものばかりで、私も正直驚いた。悩んだ揚げ句、我がクラスでは、生活者目線でトラブルを避ける美容整形マッチングアプリと、設備にお金をかけず導入できる商店街ポイントサービスを選んだ。

こうして出そろった10チームのプレゼン案を見て、ぜひ地元のキーパーソンも審査員に招いて評価していただこうと考えた。iUは地域密着の産学官および金融機関との連携も目指している。学生たちのプランを基に地元の団体、企業、金融機関などと連携して、地域の社会課題を解決しつつ、学生たちの起業も成功させられれば理想的なゴールとなる。

多忙な方ばかりだが、入学したての学生のプレゼン大会の審査員を、墨田区の商工会議所、商店街連合会の会長、事務局長、墨田区観光協会の理事長、さらには東京東信用金庫の理事長までが引き受けてくださった。大会後にはプレゼンを高く評価してくださり、今後の地域連携の道が開かれた。

今回、審査員にも学生にも選ばれた大賞は、傘のシェアリングシステムだ。競合企業に直接インタビューするなど学生ならではの果敢な行動力と完成度の高いプレゼン力での受賞となった。墨田区が誇るものづくりで美しい傘を製造し、地元商店街、観光協会、信用金庫を傘のステーションにすれば、独自のシェアビジネスになる。

自転車"ツーキニスト"兼観光協会理事の私としては、ぜひ同様の仕組みで放置自転車をリユースしたシェアビジネスを展開してほしい。そうすれば、iU生の課外活動に使えるうえ、地元商店街や路地裏個店の活性化、インバウンドも含めた街歩き観光にも活用できる。

今後は、授業の課題を地元企業からいただき、ユニークな案を出した学生をインターンに採用していただくことや、毎月、企業と学生が共に発表し合うプレゼン大会の実施も企画したい。キャンパスに留まらない学生の活躍の場と、地元企業の新展開の場を創り出すことが私のミッションだ。

[日経産業新聞2020年9月18日付]

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