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コロナ禍のプライベート

SmartTimes PwCコンサルティングパートナー 野口功一氏

今年は例年とはかなり様相の違う夏となった。言うまでもなく、新型コロナ感染症対策のため人々が移動を自粛しているからである。例年多くの人が休養やリフレッシュとして楽しみにしていた夏を迎えて、あらためてその影響の大きさを認識させられた。

イノベーションを生み出すための仕組み(プラットフォーム)づくりに従事。海外のスタートアップや大学、NPOとも連携してイノベーションの創出を戦略策定から支援している。

仕事では人との接触や介在を避けることは、ハードルが高い部分はあるものの、デジタル技術の活用で従来よりも改善された可能性もある。むしろ新たなビジネスチャンスとも捉えられる。今までできなかったことがこの機会に背中を押され、一気に変革が進むこともあるだろう。

景気全体を見渡せばあまり良くない結果が出ているが、その中でも好調な業績を維持している企業がある。不調な企業も次のステップに向けて変革や再編に取り組んでいる。引き続き厳しい状況には違いないが、出血しながらでも徐々に将来へ向け何をすべきかを考えているだろう。

一方で、私たちの生活やプライベートな環境はどうであろうか。売り上げや利益など明確な指標の達成を目的とするビジネスでは、このような変化の中で代替手段を見つけやすい。ところがそれ以外の環境では、そういうわけにはいかない。例えば家族との過ごし方、友人との関係などは雰囲気や感情に左右されたり、無駄と思われるような行動に意味があったりする。人と交流できない代替手段と言ってもほとんど何もない。オンライン飲み会なども浸透しつつあるが、少し外に出られるようになれば、やはりリアルな場での飲み会のほうが楽しいだろう。

これがビジネスであれば、オンラインの環境があるので外出可能になっても多くはオンラインで済ませようということになる。学校もその影響を大きく受けている。授業やカリキュラムをデジタル化したりすることは可能だろうが、学園祭やクラブ活動など学校生活はそれ以外の部分でもたくさん学ぶ機会がある。

私たちは以前から、「公私」とか「ワークライフバランス」など仕事とそれ以外の生活とを切り分けて考えてきた。今回の状況でも、働き方の変化やビジネスとプライベートの境界線がなくなることについての議論はすでに多数出ているが、仕事以外の生活がどのように変わっていくかの議論はあまりされていない気がする。

もちろん、健康や命を守るということが最優先で、その次に生きていくための経済活動への検討が優先されるべきだと思うが、人間にとって大切な「安らぎ」や「楽しさ」などを与えてくれるプライベートな生活や環境も大きな変化を伴っている。ウィズコロナや「新しい生活様式」など、今までとは違う生活の仕方が必要だと言われてはいるが、ビジネスの世界以外での変化や影響についてまずは一人一人が考えてみるのもいいかもしれない。

[日経産業新聞2020年9月9日付]

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