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資金調達 新しい土壌

SmartTimes グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮慎一氏

8月4日、決済システムや電子商取引(EC)ストア開設支援事業を展開するヘイが、ベインキャピタルをリード(主要)投資家としたレイトステージ(上場も視野に入るような規模にまで成長した段階)での増資をすると発表。同時にオンライン予約システムを提供するクービックをグループ化することも明らかにした。日本のスタートアップ業界が大きく成長した結果、世界から注目され、大きな資金を受ける土壌が整ったことを示す象徴的なニュースといえる。

テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資し、社外役員として経営を支援。支援先には、アイスタイルやナナピ、メルカリなどがある。東京大学経済学部、ハーバード大学MBA卒。

ヘイのケースで具体的な増資額は非開示だが、一般的にレイトステージは数十億円、時には百億円を超える金額を調達する。今回画期的なのが、リード投資家がグローバル大手バイアウトファンドのベインキャピタルであり、他にも香港の投資会社アナトール、米大手投資銀行のゴールドマン・サックスなどグローバルな金融投資家が名を連ねている点だ。

レイトステージ投資ではこうしたグローバルなプレーヤーによる投資が大きなトレンドとなっており、その中で日本は取り残されていた印象があった。だが、ここにきて、フロムスクラッチに投資した大手バイアウトファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、ラクスルに投資したフィデリティ投信などが日本のスタートアップへ投資している。今後は、百億円規模での調達も可能となり、資本をテコにした大きな成長戦略を描くことが可能となるだろう。そして、上場のタイミングも柔軟に設計することができるようになるだろう。

今回のヘイの調達には、米国オンライン決済大手のペイパルも参画している。海外の事業会社が積極的に日本のスタートアップに投資するようになると、単なる資金調達を超えた事業提携を海外展開の足掛かりとすることも期待できる。

さらに、もう1つ画期的だったのは、ヘイがクービックのグループ化という周辺領域のプレーヤーを統合する「ロールアップ」を採ったことだ。ロールアップは、大企業や比較的大手のスタートアップが、業界再編やスピード優先で規模を拡大する際に活用する戦略だ。今まで日本のスタートアップでは、机上の戦略として語られることはあったが、数十億円、数百億円という規模の資金調達がボトルネックとなり、なかなか実行されることはなかった。

資金のネックが解消され、戦略の自由度が増し、ロールアップをはじめとするダイナミックな成長ストーリーも描けるようになると、日本でも未上場のまま規模を大きくしてから上場するという選択肢も増えてくる。我々ベンチャーキャピタル(VC)は、レイトステージのラウンドで共同投資を組成し、ロールアップや海外展開を含めた成長ストーリーを経営陣と一緒に描いていく役割を担うことになる。

[日経産業新聞2020年9月7日付]

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