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保育器のような存在に

SmartTimes サムライインキュベート 代表取締役 榊原健太郎氏

新型コロナウイルスの影響によって医療機関の負荷は激増した。医療従事者は自身の安全、ひいては家族の安全も脅かされる状況になってしまったが、日々医療現場へ赴いて多くの人を救ってくれている。実際に複数の病院でクラスターが発生していることを考えると明日は我が身だろうが、果敢な行動に多くの人が救われている。

1974年生まれ、関西大学卒。大手医療機器メーカーを経て2000年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)入社。08年にサムライインキュベートを創業。起業家への投資・育成支援や大手企業の事業創出支援を行う。

話は逸れるが、弊社の名前「サムライインキュベート」には医療に関連する言葉が含まれている。結論から言うと「インキュベート」だ。インキュベート(incubate)は動詞だが、名詞にするとインキュベーター(incubator)。日本語で「保育器」を指す。なぜこの社名にしたのか。

最初から「サムライ」はつけようと決めていた。前職の会社で営業本部長をしていた時にも「サムライ営業本部」という通称を作っていたほど、自分にとって「サムライ」はとても思い入れの強いワードだからだ。海外ではサムライ=日本という認識があるだけでなく、サムライジャパンやサムライブルーなど、日本はサムライという言葉で一つになれるのだ。

他方、私はベンチャー企業の営業代行として、広告での収益化ができていない企業を支援しようと思い立ち起業した。その後も事業の方向性について思い悩んだが、最終的に創業したてや売上が伸びず悩んでいるIT起業家に対し目線を一緒にして泥臭く支援することを決めた。

そして、世の中で新しいものを生み出すのに一番苦労している人は誰かを考え抜いた時、たどり着いたのが新しい命を産むお母さんだった。その生まれた赤ちゃんに寄り添いお母さんを支えているもの、それが「保育器」だ。

保育器は小さな赤ちゃんを優しく包み、成長を支えるための医療機器。低出生体重児はもちろん、全ての赤ちゃんが一定の時間保育器に入るとも聞いたことがある。そう考えると保育器は赤ちゃんにとって必要不可欠な存在なのだ。私もそういう存在になりたい。「小さく生まれた事業アイデアをその親である起業家や新規事業担当者たちと共に、保育器のような存在として優しく守りながら最適な形で支援をしたい」との願いを込めた。

日本における新生児死亡率(生後28日未満の新生児の死亡率)は、1930年に40.9%だったが、2018年には0.9%まで下がった。これは世界でとても誇れることだ。保育器で有名なアトムメディカルを始めとする医療関係者の努力の賜物だ。一方、私はまだまだそこに達していない。インキュベートという名前を掲げているからこそ、支援している起業家の方が携わる件は全て見守り育てていきたい。今日も全ての命に真摯に対応する医療関係者の方々を見るにつけそう痛感する。

[日経産業新聞2020年8月31日付]

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