松浦晃一郎(27)加盟国の拡大
シンガポール説得に苦労 後任の事務局長選、期待通りに
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事務局長の仕事のひとつが加盟国の拡大だ。私が就任した1999年での加盟国は188カ国だった。80年代に相次いで脱退した米国、英国、シンガポールのうち、英国は97年に復帰していた。
シンガポールの復帰には意外に苦労した。米国の復帰に努力した話はすでに紹介したが、実はシンガポールをまず説得し、それを材料にして米国に復帰を持ちかけるつもりだった。ところが、当時のゴー・チョクトン首相は「米国の態度を見て...

第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎さんは、国連傘下の国際機関トップを務めた数少ない日本人です。外交官として機密情報を入手したエピソードから、国際機関における大国の主導権争いや激烈な選挙戦まで、生々しい裏話を明かします。新型コロナウイルスによる危機で国際機関の重要性が再認識されているいま、真の国際人育成が急務だと説きます。