松浦晃一郎(18)米国の復帰
人脈生かし働きかけ ブッシュ大統領に感謝伝える
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ユネスコが活動していくうえで主要国の支持が欠かせないと前回、書いた。脱退していた米国をどうやって復帰させるかは最重要課題のひとつだった。
復帰を促すには、どこに不満があったのかを知ることが必要だ。脱退したときの事務局長はソ連など東側勢力寄りの態度を取っているとみられがちだった。取材活動にも不当な制限を加えた。いちばんの問題は予算や人事の恣意的な運営だった。
こう分析すると、冷戦が終わり、東西対立は...
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第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎さんは、国連傘下の国際機関トップを務めた数少ない日本人です。外交官として機密情報を入手したエピソードから、国際機関における大国の主導権争いや激烈な選挙戦まで、生々しい裏話を明かします。新型コロナウイルスによる危機で国際機関の重要性が再認識されているいま、真の国際人育成が急務だと説きます。