松浦晃一郎(15)事務局長選挙
人選難航で自身にお鉢が 世界遺産委議長で顔を売る
[有料会員限定]
ユネスコの事務局長選挙に出馬することになった。当時の事務局長の任期が1999年に切れること、アジア太平洋出身の事務局長が過去にいないことを日本政府は意識していた。私も相談され、日本は独自候補を擁立すべきだと主張した。
問題は人選だ。ユネスコの事務局長は加盟国の投票で決める。立候補するには次の3要件を満たす必要があった。「国際的な経験を積んでいる」「英語とフランス語でしっかり仕事ができる」「ミニスタ...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り1110文字

第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎さんは、国連傘下の国際機関トップを務めた数少ない日本人です。外交官として機密情報を入手したエピソードから、国際機関における大国の主導権争いや激烈な選挙戦まで、生々しい裏話を明かします。新型コロナウイルスによる危機で国際機関の重要性が再認識されているいま、真の国際人育成が急務だと説きます。