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在宅勤務の流れ止まらず

新風シリコンバレー ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長 ロッシェル・カップ氏

自分がシリコンバレーに拠点を置く大規模な企業の雇用主だと想像してほしい。10年間で1億ドル以上節約でき、それと同時に二酸化炭素(CO2)排出量を年間5000トン近く削減して、環境改善に貢献できる方法があるとしたら、どうするか。あなたはこの方法を実行するだろうか。

人事管理とグローバル人材育成を専門とするコンサルタント。北九州市立大学教授。シリコンバレー流の経営を理解し、学べるようにすることに注力している。著書に「日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法」

これは、シリコンバレー・ビジネス新聞に7月初旬に掲載されたゲストコラムの中でサンタクララ郡監督委員会のシンディ・チャベス会長が提起した質問だ。サンタクララ郡には、サンノゼやパロアルト、マウンテンビュー、サニーベールといったシリコンバレーの主要都市が属している。

チャベス会長がこの質問をしたのは、会長がベイエリア大気質管理地区の「Cut the Commute Pledge(通勤削減誓約)」を公表したときだった。この誓約では、企業や団体に、仕事内容によって、それが可能な従業員には現在の在宅勤務を延長し、少なくとも勤務時間の25%を在宅勤務にすることを求めている。

コロナ禍でシリコンバレーの雇用主は相当な時間や労力、資金を費やして、従業員が在宅勤務できるように努めた。現在やむをえず行われている在宅勤務を常態化し、企業の働き方の特徴とすることで、企業はここまでして苦労して得た経験を部分的にでもプラスに変えられるのではという意見がある。

チャベス氏は「現在の完全な在宅勤務の形を維持すべきだなどと誰も言ってはいない。私たち皆が、虚像ではない現実の同僚と一対一で向き合って対話するオフィス文化に戻りたいと思っている」としつつ、「だが、25%レベルの在宅勤務への移行(これは従業員1人あたり週に1日を少し超えた程度)に加え、1人しか乗らないマイカー通勤の総数を削減することにより、非常に多くのメリットがもたらされる」と指摘する。

在宅勤務の利点には、環境およびコミュニティー、そして企業にとっての利点がある。部分的な在宅勤務であってもそれは変わらない。コミュニティーにとっての利点は、空気の清浄化、交通渋滞の緩和(シリコンバレーの生活の質に影響を与える大きな問題)、マイカー通勤の減少による交通事故の減少などが挙げられる。企業の利点は従業員の満足度および生産性の向上、そして毎日の通勤によるストレスの軽減などだ。

シリコンバレー企業には、在宅勤務による節約をさらに推し進め、オフィスを全部閉めて完全に在宅勤務に移行したり、オフィスを統合し拠点を小規模にしたりする動きも出てきた。フェイスブック、ツイッターなどのテック企業が在宅勤務への部分的移行を長期的に実行すると発表しており、他の多くの企業もこれに続くものとみられている。

学校の休校延長や登校日数の短縮で、子供を持つ従業員にとって、在宅勤務の選択肢は必要不可欠なためだ。さらに、多くのシリコンバレー企業が、従業員が在宅勤務に慣れてしまった現在、それを止めさせる理由などほとんどないことに気づき始めている。

[日経産業新聞2020年8月4日付]

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