朝井まかて「秘密の花壇」(172)

朝井まかて「秘密の花壇」
2020/8/3付
情報元
日本経済新聞 夕刊
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その他

七章 八本の矢 26

添(そえ)殿も以前とは事情が違う。今は貯(たくわ)えもできたであろうしと言いさして、呆気(あっけ)に取られた。

お百が任侠(にんきょう)のごとく、腕を組んでいるのだ。

「おぬし、何を考えておる」

「いっそ母子で、ここにお住まいいただいてはどうです」

わが子と分け隔てなく蔦を可愛(かわい)がる姿には頭の下がる思いがするが、情が嵩(こう)じ過ぎてはいまいか。

「そこまでしては筋違い…

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