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カジダン医師への道 100%でなくても「しのげれば」

川崎市立川崎病院医師 田中希宇人

6歳の長女が撮影した家族写真。父と母が互いに支え合って楽しく暮らす姿を子供たちに伝えていきたい

6歳(長女)、4歳(長男)、1歳(次女)の3人の子供がいる我が家は、24時間365日、「子供主体」で時間が流れています。いつもなら目に入れても痛くないほどの子供たちですが、家のなかでずっと24時間一緒にいるとストレスを感じることもあります。趣味の読書など、わずかでも「自分主体」の時間があると精神的な余裕ができますので、妻にもこうした時間を持ってもらいたいです。

次女が生まれるまで妻も仕事を持ち、夜勤をこなしていました。私も当直が重ならないように帰宅し、バトンタッチで妻と家事・育児を交代していました。次女も少しずつ成長していくなかで、妻も仕事の再開を考え始めています。働くことが妻にとっての自分主体の時間を持つことにつながればと考えています。しっかり応援していきたいです。

そのために今できることは、「時間管理」をうまくできるようにすることです。妻が夜勤にでるなら、私はそれまでにきっちり帰宅することができなければならない。現在、診察が始まる定刻の約2時間前までに出勤しているのも、そうした準備の側面があります。ただ、そこで重要なのはこの状況を「なんとか、しのげればいい」と気軽に思う心の余裕です。しんどいことは長続きしません。

かつてバトンタッチで夜勤する妻と育児・家事を交代していたころは、彼女が帰ってくるまで「必要最小限のことができればいい」という気持ちで過ごしていました。「洗剤など備品の買い置きがどこにあるか知っている」「せめて自分のシャツは自分でアイロンをかける」。この程度の家事でいいと割り切っていたから、日中にフルで働いてきた後でも、こなすことができたと思います。

必ずしも、何もかも妻と「50対50」で分担することはないと思います。はじめは夫が1割であっても、少しずつ比率を高めていけばいい。仕事の世界では、仕上げた結果への評価に対し性差があってはならないと思いますが、家庭内ではママでしかできないこともあれば、体力を生かして父親にしかできないものもあります。

夫婦それぞれ外での仕事が異なれば、家庭で過ごせる時間も違ってきます。100%の育児・家事でなくても、とにかく子供たちが無事に暮らせる程度で「しのげればいい」と考えれば、柔軟に分担しあうことができそうです。

コロナ禍で在宅時間が長くなった家庭もあるかと思います。仕事優先で過ごしてきた父親も、子供たちに家事をこなす姿を見せるいい契機になりそうです。私はこれからも、父と母がお互いにハッピーにしている姿を子供たちに見せていきたいです。

田中希宇人(たなか・きゅうと)
 39歳。2005年慶應義塾大学医学部卒業、13年川崎市立川崎病院勤務。日本呼吸器学会呼吸器専門医など。ブログ「肺癌勉強会」やTwitter(@cutetanaka)で最新情報を発信中。
[日本経済新聞夕刊2020年7月28日付]

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