春秋

春秋
2020/7/11付
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日本経済新聞 朝刊
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伊藤左千夫は生涯に3度も、大きな水害を体験している。「野菊の墓」で知られるこの人は乳牛を飼いながら歌を詠み、小説を書いて暮らした。東京の下町で牧舎を営んでいた1910年8月、そんな左千夫が見舞われた災厄はとりわけ深刻だった。関東大水害である。

▼「闇ながら夜はふけにつつ水の上にたすけ呼ぶこゑ牛叫ぶこゑ」。牧舎の牛の叫び声が悲痛だ。被害は関東一円に及び、多くの犠牲者を出した。長く停滞していた前線に、…

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