/

新たな「方程式」に活路を

SmartTimes インディゴブルー会長 柴田励司氏

これまでの「方程式」を捨てられるかどうか。それが新常態(ニューノーマル)下での鍵になる。多くのビジネスが「人が集まること」を前提にしているが、新型コロナウイルスはこの前提を壊した。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

映画館、劇場、テーマパーク、百貨店、ホテル、レストラン――。こうした業態は人が集まることを前提にしている。業界関係者と未来像について議論するなか感じるのは、意思決定者たちが過去の方程式を捨てられるかどうか、ということだ。売り上げを客数×客単価としたときに、感染予防から客数を30%に制限するとしたら、客単価を3倍強にしない限り、元の売り上げには戻らない。しばらくの間は客数が30%であっても耐えられるようにコストカットする。その後、様子を見ながら徐々に前の状態に戻す。

だが、これは「耐える」だけの作戦だ。環境変化に適応するための戦略がない。3倍以上の提供価値を創り出して、単価を3倍以上にする。小さくなった売り上げそのものに新たな関数をかける。こうした「とんでもない視点」が未来をひらくのだが、こうした議論は過去にとらわれているとできない。売り上げを10%上げる議論は苦しいが、10倍にする議論になるとそこには夢がある。だから、夢を語り合う場が今必要なのだ。

私が会長を務めるインディゴブルーでは、オーガニゼーション・シアター(OT)というケーススタディとロールプレーを掛け合わせたプログラムを提供している。テーマはビジネス上の修羅場体験。次世代の経営者候補たちが1~2日間、密に議論、検討を重ねる。プロの役者演ずる利害会社とも直接対峙する。これがケースの「売り」だった。ただ、さすがにコロナ禍でこのプログラムを提供することは難しくなったので、これまでの売りを捨てて、完全にオンライン環境で提供することにした。

コロナ禍で在宅勤務を課せられる中、会社を揺るがす問題に対応するケースや、グローバル拠点の人間が連絡を取り合いながら問題解決に取り組むケースを開発した。5月からこのプログラムの提供を始めたが、想定以上の価値を生んでいる。各人がリモート環境下で課題を解決する必要があるため、フリーライダーが生まれなくなったこと、参加者のリモートアクセス対応力が短期間で劇的に向上すること、場所の制約をうけなくなったので海外駐在者であっても普通に参加できること。まさに必要は発明の母だと感じた。

リモア(リモートアクセス)とリアル(集合)が融合したプログラム、さらには映像技術を駆使したセミナーなど今後、実験を重ねていくつもりだ。こうした試みには夢がある。これまでの発想ではありえない未来をワクワクしながら創造する。それがニューノーマルでの「新たな方程式」作りとなる。

[日経産業新聞2020年7月10日付]

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

「日経産業新聞」をお手元のデバイスで!

 スタートアップに関する連載や、業種別の最新動向をまとめ読みできる「日経産業新聞」が、PC・スマホ・タブレット全てのデバイスから閲覧できます。直近30日分の紙面イメージを閲覧でき、横書きのテキストに切り替えて読むこともできます。初めての方は1カ月無料体験を実施中です。

詳細はこちらから

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン