朝井まかて「秘密の花壇」(152)

朝井まかて「秘密の花壇」
2020/7/8付
情報元
日本経済新聞 夕刊
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その他

七章 八本の矢 6

「本当の読者は無筆者にあらず、かつて洒落本(しゃれぼん)を好んだ江戸っ子が穿(うが)ちを楽しんでいるんですよ」

仙鶴堂の手代らや北尾重政(きたおしげまさ)の弟子らとも膝を交えて想を出し合った際は面白く、馬琴も随分と思案を出したものだが、いざこうして実情を聞かされると冷え冷えとしてくる。

京伝の洒落本が江戸者に「穿ち」、すなわち深読み、替え読みの楽しさを供したわけだが、京伝本人…

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