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日本全国 旅する会社

SmartTimes WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏

コロナ禍により「オンラインで可能なもの、むしろ効率的なもの」と「オフラインでこそ価値のあるもの」の区別がはっきりしてきた。

慶応大卒、1998年リクルート入社。ネットの新規事業開発を担当した後「じゃらんリサーチセンター」に異動し、観光による地域活性化事業を展開。2016年WAmazing創業。

当社は観光インバウンド(訪日外国人)領域のスタートアップで、コロナの直撃を受けたためコスト削減目的にて4月末、オフィスの退去届を出した。契約の関係で秋までは今のオフィスに入居し続けるが、緊急事態宣言の解除後も100人を超す社員はリモートワークを継続している。

郵便物の処理や書類の印刷、自宅では集中できない場合など必要あればいつでも出社は可能だが、在宅を前提としても業務推進に大きな支障はない。社員には定期的にアンケートを取って働き方への意見を聞いているが、これまでかかっていた出勤準備や通勤の負担がなくなり、仕事がしやすくなったという声が多く見られた。

出張に関わる時間と費用を大きく減らせたというのもメリットだろう。私たちは観光を事業にしているため、全国各地に赴き直接担当者と顔を合わせることが欠かせなかった。しかし、今はほとんどオンラインの会議になっており、午前は北海道、午後からは沖縄など移動時間を考慮せず1日に日本中の関係者と打ち合わせすることができる。時間の価値がすっかり変わってしまった。

社内会議も一部がオンライン参加だと孤立感があるが、全員がオンライン参加なら議論も弾む。今後、コロナが収束したら出張や対面会議は増えていくと思うが、それでも以前のスタイルに戻るのではなくオンラインも活用した働き方になるだろう。

そもそも「地方創生」を掲げながらも本社は東京都港区というのもどうなのだろうか。当社には日本中の魅力を世界に発信するというビジョンに共感して入社した人材が多い。外国籍社員は4割以上を占める。東京は魅力的な場所だが東京だけが日本ではない。

いっそ「旅する会社」になるのはどうだろうか。地方自治体からは以前より度々「企業誘致」のお誘いを受けていた。誘いに応じて、例えば四半期ごとに本社所在地を変え、日本全国を旅するのも面白い。各地が一番魅力的に輝く季節にオフィスを設置する。

その土地の暮らし、歴史、食を楽しみ地元の人々と交流しながら多言語で世界に観光資源を発信する。子供の学校など家庭の事情で「旅する会社」に通勤できない人は、普段は自宅からリモートワークで働き、数日のリアル出張でオフィス出社することができる。登記変更も伴えば納税という意味でも地方に貢献できるのではないか。

当たり前だと思いこんでいたものを手放してみると新しいアイデアも湧くし新たなスタイルも手に入れられるのかもしれない。なんともわくわくするアフターコロナだ。

[日経産業新聞2020年7月1日付]

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