変容見据えた経営戦略
SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

コラム(ビジネス)
2020/6/29付
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新型コロナウイルスの感染者は一部地域で増加しているが、全体としては鎮静化してきた。全面的な経済回復に向け、官民挙げて全力で取り組むべき段階に入ってきた。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

今後は感染予防対策はもちろん、大阪府が実施しているような感染経路の追跡システムや検査体制の充実によって、社会経済活動を制限しない復旧が求められる。

新規株式公開(IPO)についても、新型コロナの影響は大きく、4月は上場承認を受けた15社のうち、14社が株式市場の動向から上場中止を発表するという前代未聞の状況となった。一連の上場中止は、業績動向を確認できなかったり、株価決定プロセスの機能がまひしたりしたことで、横並びで主幹事証券会社が上場中止を要請したと個人的に受け止めている。

昨年の夏ごろから審査を進めてきた企業にとっては苦渋の選択だっただろう。IPOの中止は長期化も懸念されたが、緊急事態宣言が解除された6月には4月に中止した3社を含めた6社のIPOが予定されている。再開に安堵している。

今後、新型コロナは社会の大きな変容を促し、収束したとしても過去のビジネスが元通りとなることはない。私の関与しているベンチャー企業でも、大半が経営戦略・ビジネスモデルを見直し、ビジネスの再構築、新規事業開発を急ピッチで進めている。

短期的には業績に悪影響が出ている企業が多いが、スピード感を持って環境変化に対応できるベンチャー企業にとっては、中長期的なビジネスチャンスは拡大している。具体的に推進している事業テーマは、「三密回避」のソリューション、遠隔コミュニケーションサービス、新たな交通手段の提案、仮想空間ビジネス、地方創生ビジネスなど多岐にわたる。

多くのベンチャー企業の経営戦略に直接関与する私の立場からは、様々な業界でのリアルな全体像を見渡すことができる。例えば、私が役員を務めるレストラン経営のバルニバービでは、兵庫県の淡路島にあるレストランが東京、大阪の中心部エリアを上回る売り上げをあげるという現象が起きており、地方のポテンシャルを体感できる。

これは不動産価値や移住を含めたライフスタイルの常識が覆っていることを示唆している。ベンチャー企業は、アフターコロナ時代に合致した経営戦略を再構

築することで、企業価値を大幅に引き上げることもできるが、逆にこれまでのビジネスモデルの価値が失われることも考えられる。短期的な視点ではなくアフターコロナ時代の社会変容を見すえた中長期の経営戦略が必要だ。

経済活動を極端に制限するべきでない段階に入った今、私もIPOという未来への夢をカタチにする仕事にしっかりコミットしていきたい。

[日経産業新聞2020年6月29日付]

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