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原宿にデジタルマーケティング店開業 アプリやセンサーで多角分析

先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

NIKKEI MJ

JR原宿駅前で複合商業施設「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」が開業した。日本空港ビルデング子会社の羽田未来総合研究所(東京・大田)とNTTグループのNTTアドはこの施設内に共同で、ユニークなショールームを開設した。新型コロナウイルスの猛威が終息した後をにらんだ、デジタルマーケティングの新型店だ。

羽田未来総研とNTTアドがウィズ原宿に開設した店

店内は2つのエリアに別れており、一方は飲食スペースとなっている。ここでは様々な種類のいなりずしやスイーツ、秋田のお酒などが楽しめた。もう一方には日本全国から集めた、伝統文化とアーティストがコラボした品々が並んだ。西陣織のオリジナルのスニーカーや燕三条の茶器など、和の高級店の印象だ。筆者も思わず盆栽を購入した。

各地の生活雑貨を販売したりカフェを運営したりしているが、それだけではない。

店内に客の手の動きや滞在時間を読み取るカメラなどを設置して行動データを取得し、購買動向を分析。商品の改善や店舗づくりにつなげるデジタルマーケティングの場なのだ。NTTアドの長谷部敏治社長は「リアル店舗とデジタル技術の組み合わせは、アフターコロナの新常態となる。顧客などのデータを収集・活用し、新たな商材開発やグローバルな消費者との多層的なエンゲージメント作りに取り組む」と話す。

実際にはまず、スマートフォンのアプリを使って、店を訪れた顧客の属性や時間帯別滞在データなどを収集・分析する。店内のセンサーやカメラは顧客の動きを追い、どの商品に興味を持ったか、実際に購入したかどうか、なども分析できる。施設に設置されたデジタルサイネージでは、顧客の反応の差異や送客広告効果を調べる。さらに店内のタブレットを使ったマーケティングで、これら全てを総合的に結びつけるそうだ。

これまで店舗スタッフの勘や経験に頼っていた購買分析をスマホや店内のセンサー、デジタルサイネージなどを掛け合わせることで、多角的に調べ上げることができる。いずれ商品ラインアップから価格まで全て、数字やファクトで決まってしまう時代が来ると実感した。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

店舗を運営する羽田未来総研の大西洋社長は「顧客の購買情報のみならず、行動情報や顕在ニーズに加えて、潜在的なニーズまでを読み込むマーケティングのために、デジタルを活用していく。今後、他の施設でも同じような考え方で店舗を展開していきたい。最終的には羽田空港が情報のハブになることで世界に発信できれば」と話す。

NTTアドでは今回使ったアプリを地域別の多言語アプリとして開発し、インバウンド(訪日外国人)消費が復活した時の準備を着々としている。2019年に420万人もの訪日外国人が訪れた羽田空港と世界に知られる繁華街、原宿を結びつけた今回のプロジェクトは、来年の東京五輪・パラリンピックに向けて動き出している。

両社はコロナ危機の前から、日本の伝統文化と最新テクノロジーの融合というテーマで新店の検討を進めてきた。訪日客消費が復活すれば有効なデータやノウハウが蓄積されるだろう。

[日経MJ2020年6月29日付]

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