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学校向けデジタル教科書のリブリー 出版社と連携、周辺市場に商機

戦略ネットBiz

NIKKEI MJ

教育スタートアップのリブリー(東京・千代田)はデジタル教科書の開発を手掛けている。出版社と連携し140冊弱の教科書や参考書をデジタル化。これまで私立の中学・高校を中心に約500校に提供してきた。新型コロナウイルス危機でエデュケーション(教育)とテクノロジーを融合した「エドテック」に注目が集まるなか、公立学校も含めた一段の普及を目指す。

リブリーは2012年の創業。高校の教科書をタブレット端末で学習できるシステムを開発した。書籍ビューワー機能と問題検索機能がセットになっているのが特徴で、教員はリブリー上で教科書に準拠した宿題を配信・回収・集計できる。教員の業務負荷を減らすことが主目的だったが、コロナに伴う休校期間中、学習状況の遠隔把握に役立った。

保守的な教育の現場で教材の変更、ましてデジタル化に踏み切らせるのは容易ではなかった。リブリーは出版社のルート営業に着目した。紙の教科書とリブリーの教材をセットで出版社に販売してもらうことで市場を開拓。出版社にとっても、紙とデジタル教材のセット販売で単価を上げられるメリットがあった。利益はリブリーと出版社で分け合っている。

リブリーは中高生向け教科書・参考書の市場規模を約2400億円と見積もり、これを紙からデジタルに置き換えていく考えだ。多くのエドテックサービスは個人向けや学習塾向けが中心。これに対しリブリーのサービスでは学校単位で生徒の学習履歴データを蓄積できるため、より広範な「教育ビッグデータ」の活用ができる。中高生向けの広告や通信教育といった周辺市場は1兆5000億円規模とみられ、ここにも踏み込む。

デジタル教科書普及の大前提になるのは、生徒一人ひとりの通信環境や端末の整備だ。文部科学省は児童生徒1人につき1台の端末を付与するGIGAスクール構想を19年12月に提唱。23年度までの端末配備完了を計画したが、新型コロナに伴う休校措置を受け、計画実現目標を20年度内に早めた。

ハードの整備を進める文科省に対し、経済産業省はソフトの導入を支援する。6月に「エドテック導入補助金」の受け付けを開始。エドテックのソフトを手がける教育事業者が申請し、導入学校の費用を補助金で負担する。

政府はエドテックの普及に前向きだが、自治体や学校は導入に尻込みしているところもある。文科省は端末導入費用を上限4万5千円まで補助するが、5年後の更新期は補助があるわけではない。経産省の補助金も今年度限りの予定だ。導入後の運用コストをどう負担するのかという宿題は残る。

リブリーは東京書籍(東京・北)や啓林館(大阪市)など、理数科目の教科書会社5社中4社と提携している。9月には中学の数学・理科教材の提供も始める。22年には英語や国語といった文系科目にも範囲を広げていく予定だ。「教育のデジタル化はコロナに伴う一過性のものではなく、世界的な潮流」と後藤匠最高経営責任者(CEO)は話す。コロナ禍をチャンスにかえて教育界に変革を起こせるか、腕の見せどころだ。

(安村さくら)

[日経MJ2020年6月24日付]

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