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春秋

資生堂の「マイ・クレヨン・プロジェクト」は、長年肌の研究を重ねる化粧品メーカーならではの小学生向け出前授業だ。さまざまな人の肌の色を計測し再現したクレヨンから自分に近いものを選んで自画像を描かせる。肌色は人の数だけあると実感してもらう試みだ。

▼日本では1990年代の終わりにクレヨンの「肌色」をペールオレンジ(薄橙(だいだい)色)などと言い換えるようになった。国際化が進み人の肌色は多様だとの意識が広まったからだ。米国でも20世紀半ばクレヨンの薄桃色をフレッシュ・カラー(肉色)と呼ぶのをやめた。しかし肌色をめぐる議論は今も続くことを最近、知った。

▼化粧品や服飾品でよく使われる「ヌード」なる言葉。いわゆる肌色系の色を指すが、辞書では「白人の肌の色」と説明されてきた。米国人編集者の近著「ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険」によればこれが見直され、「身につけている人の肌の色に合う(淡いベージュや黄褐色などの)色」と修正されたそうだ。

▼資生堂プロジェクトのクレヨンには「ゆうと色」「あんり色」と人の名前がつけられた。そもそも昔は「肌色」なんてなかった。画家たちは緑地に赤やシルバーを混色し、白い胡粉(ごふん)に朱を混ぜて唯一無二の個性を表現してきたのだ。お仕着せでない「自分色」を手にした子供たちの自画像も、どれも誇らしげに輝いている。

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