在宅勤務はテキパキと 効率よく自分のペースで
ミレニアルスタイル
「ウィズコロナ」は過去何十年も変わらなかった岩盤のような慣行を一気に動かした。緊急事態宣言が解除になっても、常に新型コロナウイルス感染のリスクを念頭に生活し続けるしかない。ミレニアルズのなかには勤務先が8月末まで完全在宅ワークを決めた会社もある。5月末、自粛生活を続けるミレニアルズに改めて考え方や過ごし方を聞いてみた。
「会社は必要な時に行くくらいが心地いい。通勤なしで心も時間もゆとりのある今の働き方を続けたい」(27歳女性)。「健康のために理想は週3在宅、週2出社で週休2日」(25歳女性)。業種や職種にもよるが、必要に応じて自分の都合で働きたい、というのが多くの人の本音だろう。
楽天インサイトが4月に実施した「在宅勤務に関する調査」でも、「今後、在宅勤務の導入・普及が進んでほしいと思う」人は、女性(49.3%)、男性(45.7%)とも高く、年代別では20代(60.5%)が、30代(58.5%)ほか上の世代を全て上回っている。

とりわけ若い女性は私生活で「インスタグラム」など多種のSNSや「メルカリ」などのアプリを常にチェックしているので、仕事で複数のコミュニケーションツールを使いこなすのにストレスが少ない。
在宅ワークで世代ギャップを感じるという声も多かった。典型的な「昭和」的発言の極みは、50代男性に多いという「在宅だと酒飲みながら仕事できるね!」。ある20代の人は「そもそもお酒飲みながら仕事、の発想ってダメでしょ」。
「上司や先輩が全て退室してからZoomを閉じるというマナーがあることに驚愕」というツイートが反響を呼んだり、上司からの頻繁なオンライン連絡に自分の仕事ペースが壊されるという不満も多かった。上司のデジタルリテラシーの高低が効率を左右するとの声も聞いた。
効率よくスケジュールを立て自分のペースで仕事をこなしたいミレニアルズは多く、ダラダラと長時間仕事をするのを嫌う。「そもそもサボって仕事が遅れれば後で自分が困るから、自分のためにサボらない」(29歳女性)。在宅だと人事評価が難しい、という企業の管理部門の惑いは杞憂かもしれない。

「人付き合いへの支出が減った分、少々高くてもこだわりの良品を買いたい」と、快適な在宅ワークのために机や椅子を新たに購入し、仕事のモチベーションをあげる人もいた。
外出自粛中、若い人はプライベートでも時間を無駄にしていない。インスタグラムではZOOM飲み会などは5月には激減し、最近は趣味に没頭したり、クリエイティブに活動し発信する様子が散見された。
アクセサリーや小物を手作りして「minne」などで手軽に売る人もいた。「お金稼ぎというよりも作品発表の場とプチビジネス感覚を楽しむ」(26歳女性)という。
「ニューノーマル」というとやや大仰だが、在宅ワークを巡る小さな意識、行動の変化もまさに新たな日常。通勤ラッシュや他人との接触など、外的ストレスを減らしながら、仕事も生活も、自分のペースとスペースを守り快適さを求める。そんなミレニアルズにとって手放せないライフスタイルが見えてきた。
(ブームプランニング代表 中村泰子)
[日経MJ2020年6月19日付]